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【出っ歯と口ゴボの矯正】抜歯あり/矯正用インプラントを用いた治し方

矯正治療

今回は院長が治療をおこなった、出っ歯である事がお悩みで、矯正治療により口元の改善を行った症例をご紹介します。ホームページ症例②のケースとなります。

このブログでは治療における注意点や、治し方について解説しておりますので、同じように出っ歯や口ゴボが気になり矯正を検討中の方はぜひ最後まで読んでいただけたらと思います。

治療にあたる前の相談

患者さんの悩み

昔から歯が出ているのが気になる。横顔も口元が出ていて気になる。昔からコンプレックスである。

患者さんの希望

歯をできる限り引っ込めたい。歯を抜く事には全く抵抗はない。

口ゴボを治す事で、横顔も綺麗にしたい。E-ラインが欲しい。

歯並びの問題点

上下顎前突(上の歯と下の歯どちらも頭の骨の位置に対して前に出ている状態)

前歯部歯軸唇側傾斜(横から見た時の前歯の角度が、前に傾いている状態)

下顎前歯部中等度叢生(下の前歯にそれなりのデコボコがある状態)

口ゴボとは?

口ゴボとは、正式的には上下顎前突と呼ばれる状態で、頭の位置に対して、上あごの骨の位置も下あごの位置も前に出ている。それにより唇も前に出ている状態を言います。

口元がゴボっと膨らんでいる状態に見えることからそのように言われるようになり、最近ではSNSなどを通じて若者から広まりつつある言葉になります。作られた言葉であるため、出っ歯や口元を気にする方や、矯正について調べている方以外には、全くなじみのない言葉ではあります。

もちろん見た目の問題もありますが、口ゴボであると、口が閉じにくかったり、口呼吸になりがちであったりと機能的にも問題となることが多く、矯正治療による改善が望まれます。

E-ラインとは?

横顔を見たときに、鼻の先端と顎の一番前に出ている点を結んだラインをE-ラインと呼びます。一般的にはこのE-ライン上に唇が乗るのが美しいと言われています。ただ、E-ラインより少し引っ込んだ位置を好む方もいますし、あくまで見た目の一つのポイントにしかなりません。

また、E‐ラインは唇の位置だけでは決まらず、鼻が高いか低いか、顎が前に出ているか引っ込んでいるかによっても変わってくるので、E‐ラインが欲しいからと言って、なんでもかんでも歯を抜いて引っ込めればよいというわけではありません。顎が引っ込んでいる人などは、むしろ顎を前に出してあげるなど、必要な処置をすることで綺麗なE‐ラインを手に入れる事ができます。

治療方法

歯並びと、レントゲンによる骨格の分析の結果、歯の唇側傾斜が強いことと、骨格的に上下顎前突が認められるため、前から4番目の小臼歯を4本抜いて、前歯を引っ込めていく計画をたてました。アンカレッジロスをできるだけ防ぐためにTAD:Temporary Anchorage Device(矯正用ミニインプラント)も使用することにしました。

患者様はワイヤー矯正とマウスピース矯正で悩んでいましたが、できるだけ口元を改善したいということと、マウスピースをさぼって余計に期間が長くなるのが嫌ということで、ワイヤー矯正で行うことにしました。

アンカレッジロスとは?

矯正で一般的に、小臼歯と呼ばれる間の歯を抜いた場合、前歯を下げるときには後ろから引っ張る必要があります。これをどこから引っ張るかによりますが、その引っ張るための固定源の事をアンカレッジと呼びます。そして、奥歯と前歯で引っ張りあうとのは一般的ではありますが、この方法だと、前歯も引っ込みますが、反作用として奥歯も前に引っ張られてしまいます。この奥歯が前に引っ張られてしまうことをアンカレッジロスと呼びます。

アンカレッジロスを防止するために、色々な装置や手技があり、治療を行う先生の好みの別れどころでもあります。

ただ、できる限りアンカレッジロスを防ぎたい場合は、最大限の固定を行う必要があり、それをマキシマムアンカレッジと呼びます。それにはTADの使用が推奨されます。

TAD:Temporary Anchorage Device(矯正用ミニインプラント)とは?

TADとは矯正用のミニインプラントのことであり、顎の骨に小さなネジを入れて固定します。TADには様々な使用方法がありますが、一般的には奥歯の歯の間や口蓋(上あご)の骨にTADを入れ、そこから前歯にゴムをかけることで、奥歯が前に引っ張られる力をかけずに、前歯を下げる力をかけることができます。

その他にも、入れる場所や力のかけ方で様々な動きを補助することができるので、矯正治療においてTADが使用できると大きなアドバンテージにはなります。

「よく顎の骨に入れますというと、すごく怖がってしまう方は多くいますが、長さが6~8㎜、太さも1.4~1.8㎜程度と非常に小さいものであり、麻酔はしますが処置の痛みはありませんし、入れるのも5分とかかりません。麻酔が切れた後も思っていたよりずっと痛みは少なかったと言っていただける方が多いです。

うまく使うと、色々な動きを補助することができ、矯正治療が効率よくなるので、心配せず処置を受けていただければと思います。

もちろん、正確に歯と歯の間に入れることは、技術が必要な処置であるので、しっかりした技術がないと、歯の根っこを傷つけてしまうなど、あってはならない事故を起こすこともあり得ますので、十分な技術を持った歯科医師が処置する必要はあります。

矯正治療後

定期的にしっかり通院して、治療を頑張ってくれたおかげで、前歯は引っ込み、横顔の口ゴボの感じも改善され、綺麗なE-ラインを得ることができました。

 

治療後の感想

横顔が綺麗になって嬉しいとの声をいただきました。口も以前は閉じにくくてぽかんと開いてしまう事が多かったけど、閉じやすくなりましたとのことです。

口が閉じくい人は口呼吸をしている可能性が高くなります。口呼吸で鼻呼吸に比べると、乾燥しやすかったり、細菌感染がしやすくなったりすることで虫歯や歯周病のリスクが高くなるといわれています。今回の矯正治療で、見た目が良くなっただけではなく、将来歯を失いにくく、自分の歯を守り健康で過ごせるような期待もできます。

治療期間

2年6カ月の期間で治療は完了しました。

治療費用

82万5千円(税込み)

これから治療を行う方に関しての費用は、治療費のページを参考にしてください。

https://www.asakusabashi-dental.com/cost/

執筆者

浅草橋駅前歯科 矯正歯科 院長

歯科医師 遠山雄太

ISOI 国際口腔インプラント学会 認定医

インビザライン認定ドクター